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渡部家文書


 渡部家は江戸時代に小川庄五十島村(現在の三川村)の庄屋を務めたほか、この地域の水運業者の中心的な存在でした。そのため、同家には、年貢の納入額などを記した庄屋文書のほかに、水運・流通に関する文書が数多く残されています。  これらの文書は元禄年間(1688~1704)から明治時代にかけて作成されたもので、発着する船ごとに、積み荷(主に薪炭)の内容や収支などが細かく記入されています。これらのことから、渡部家を中心としたこの地域の運送、流通業全般の推移を長期間にわたって知ることのできる貴重な資料です。

指定:県
種別:有形文化財(古文書)
員数:2,582点
時代:近世~近代
所有者・管理者:個人蔵(新潟県立文書館に寄託)
指定年月日:平成12年3月24日

詳しい解説

渡部家は近世初期から小川庄五十嶋村(現東蒲原郡三川村)の肝煎を代々務めた家柄で、明治時代には小区長に任じられている。  併せて同家は、当該地域の水運業者の中心的存在であり、その活動範囲は会津若松から新潟湊に至る阿賀野川水域はもとより、蒲原平野中南部に至る信濃川水域にも及ぶものであった。そのため同家にはいわゆる村方行政文書のみならず、水運・流通関連文書を多数含む膨大な文書群が残されている。  現存する文書は近世中期(元祿年間)から近代にかけて作成されたもので、分野としては水運・流通以外にも、田畑収支・徴納税・金銭貸借・明治政府布告・若松県布達・村内学校管理・書状・日記・覚書等、多岐にわたる。また形態としては、冊子(竪帳・横長・横半)・綴・一紙文書に大別され、総点数19,093点を数える。このうち一紙文書の大部分(16,296点)は、故渡部綱男氏の独自の整理によって1点ずつ巻紙(632巻)に貼付されている。  同文書中でも特に、水運・流通関連文書については、積荷品種、運送量、運賃、船数、人足管理、商品売買、及びそれにかかる収支勘定を記した史料が近世後期を中心にほぼ連続的に残っており、県内では極めて稀有なものである。代表的史料としては、「船上下積荷勘定帳」・「船萬覚帳」・「歳中金銭差引帳」・「諸品書上萬控帳」・「五十嶋村分限(改)帳」等がある。  「船上下積荷勘定帳」及びそれに類する史料は、当該年中の「壱番船」から順に各船の積荷内容、行き先、差益等が詳細に記されており、年によっては「船上下金銭請払帳」・「船上下積荷売立帳」・「船方金銭萬請払帳」等の表題をもつ。また「分限帳」及びそれに類する史料は、享保年間から明治前期まで途中若干の欠落年次はあるものの約100点が残っており、渡部家を含む村内各戸の所有船数、船種、馬数等が網羅的に記載されている。これらにより、渡部家を中心とする同地域の運送・流通業全般の推移をその経営規模を含めて長期間にわたって知ることができる。  さらに、そうした運送・流通業の背景にある薪炭、蝋、漆木等、主要産物の生産管理にかかる史料も多数存在し、同家を中心とした東蒲原地方の生産活動の特徴を示すものとしても重要である。  

所在地

JR新潟駅から車で15分 / バス JR新潟駅南口から江南高校行き 鳥屋野球場前下車徒歩4分

備考

 閲覧可能

問い合わせ先

新潟市文化スポーツ部歴史文化課
〒951-8550  新潟市中央区学校町通一番町602-1
TEL:025-228-1000   FAX:025-230-0412
rekishi@city.niigata.lg.jp

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