これは、上越市吉川区の報恩寺に伝わる壁などに掛けておく仏です。薬師如来(やくしにょらい)の像の形を銅板から切り抜き、槌(つち)で打ち出し、薄い銅製の鏡に鋲(びょう)で止めてあります。丸顔ののどかな表情や、丈長(たけなが)でゆったりと膝を組んで座るようすは、大らかさもあって、平安時代後期に作られたと思われますが、報恩寺は再三火災にあったため、その由来は不明な点が多く、詳しいことはよく分かっていません。
指定:県
種別:有形文化財(工芸品)
員数:1面
時代:平安時代後期
所有者・管理者:報恩寺
指定年月日:昭和39年3月22日
詳しい解説
左手は膝上で薬壺をのせ、右手は肘を曲げ胸のところで掌を前に向けて立て、蓮華の上に坐った薬師如来の懸仏である。像の形を銅板から切り抜き鎚起して薄肉に表わしたものを薄い鏡背(左右径30.9センチメートル、上下径31センチメートル)に鋲止めしている。火焔付きの二重円光も別に銅薄板から切り出して取り付けてある。像は、顔の彫りをやや厚手に作り、衣文や蓮弁の輸廓などは浮肉地に蹴彫りで表し、丸顔ののどやかな表情や、丈長でゆったりと膝を組んで坐る様子には、大らかさもあり、平安時代後期の作と推定される。
備考
普段は非公開、拝観希望は事前に教育委員会に連絡が必要。
問い合わせ先
上越市文化行政課
〒942-8563 上越市大字下門前593 教育プラザ内
TEL:025-545-9269
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